人と顔を合わせるのが怖くて接客もできなかったのに
長いトンネルを抜けて、元気女将の輝く笑顔!
埼玉県上尾市 呑口英子さん 68歳(取材時)
■めまい、血圧、自律神経失調症に悩まされて
元気印の女将さんとして、昭和44年から40年以上も上尾市の中華料理店「チャイナ」を切り盛りしている呑口さんですが、今の笑顔からは想像できないほど、つらい過去がありました。
「45歳の頃だったと思うんですけど、言いたいことも言えずに息抜きさえもできない毎日で神経がすっかりまいってしまったんです」
いちばん信頼していた人に裏切られたことで大きなショックを受け、ストレスが極限に達してしまったのです。仕事中も足がぐらぐら揺れてその場にしゃがみ込んでしまうほどで、紹介された病院で血圧を測ると、上が240で下が135という数字にビックリ。
医者のすすめで入院して治療することになりましたが、検査の結果は内臓などの異常はなく、自律神経失調症の症状と診断されました。
■ストレスが重なり死ぬことも考えた
すっかり人と顔を合わせるのが怖くなってしまい、接客業なのに店に出られず、ひたすら裏方の仕事をしていたという呑口さん。ろくに食事もとれないので、62キロの体重があっという間に48キロにまで落ち込んでしまいました。近所に住んでいたお母さまが、見るたびに痩せてやつれていく姿を見て、本当に心配していたといいます。
お店が終わると「疲れた~!」と、へたり込む毎日。一歩家に入った途端に、糸がプツンと切れたように無気力状態に陥ってしまいます。寝床に倒れ込んで、このまま朝が来なければいいといつも思っていました。
「あの時は真剣に死のうかと考えることもあったんです。実際に主人は医者から、『ただの自律神経失調症じゃないから、目を離さないように』と言われていたらしくて。思いとどまったのは、自分が死んだら残された子供たちや主人に迷惑をかけると思ったからなんですよ」
■一年迷った末に「試しに」と言い聞かせて
音楽が大好きな呑口さん、ある時新聞にオカリナ奏者の「宗次郎」の懐かしの曲十枚組のCDを見つけました。ご主人にお願いをして、CDとCDプレーヤーまで買ってもらいました。オカリナの音色を心の支えに、無理をしながら裏方の仕事を続けていたある日、「お母さんの顔が見えないと、お店が暗いよ」とお客さんの声が聞こえたのです。
「こんな私でも待っていてくれる人がいる。早く立ち直って元気にならなきゃ」と、密かに心に誓ったのでした。
体調を悪化させないために病院の薬を手放せないものの、健康作りのために何かいいものはないかと思っていたある時、新聞で卵油の記事を目にしました。それまで健康食品は飲んだことがなかったこともあり、体験談を読んでは考え、また別の人の体験談を読んでは悩むということを繰り返し、一年近く迷った末、昔からあるものだし薬じゃないし『試しに』と自分に言い聞かせて、思い切って取り寄せてみることに。
■10年ぶりに張り替えた障子紙で部屋も心も明るく
「身体がダルくて言う事をきかなかったのに、半年もたたないうちに、少しずつ気持ちが前向きになってきたんです。正直、自分でも不思議な感じなんですけど、今まで嫌で手につかなかったことが、自然にできるようになったんです」
気乗りしなかった同業者組合の旅行にも、他の女将さんたちも一緒なら、ということで初めて参加しました。これが和気あいあいとしてとても楽しくて、それ以来、病み付きになって毎年参加しているとか。
でも本当に元気になったなぁと感じたのは、10年ぶりに障子紙を新しいものに張り替えた時でした。
「紙が黒ずんでくるから、部屋も暗かったんですけど、張り替えたら明るくて気持ちよくて、あぁ、長いトンネルをやっと抜けたなぁって、本当に嬉しかったです」
今もご主人と一緒にお店を切り盛りしている呑口さんは、お客さんと話をするのがとても楽しくて、とても充実した毎日を送っています。
「家族で自営業をしていくというのは、いろいろな苦労もつきもので山あり谷ありですが、この仕事は定年がないのがありがたいです。これからは主人と宗次郎のコンサートに一緒に行ったりしたいですね」
※お客様個人の感想であり、効果効能ではありません。